2012年08月09日
6st 止まらない病院をつくるための“見えない備え
ー聖隷浜松病院の増築工事は6階躯体へ
建物は、完成してからが本当の役割のはじまりです。
特に病院は、
どのような状況にあっても、
「機能し続けること」が求められます。
今回の工事記録では、
地上6階まで進んだ躯体工事の様子とともに、
災害時にも医療を止めないための設備計画について、
設計者の視点からお伝えします。
外観
躯体工事は6階へ。建物の輪郭が見えてくる段階
前回の免震装置設置から約6ヶ月。
現在は、新棟1期の
6階スラブ・梁の配筋工事が進められています。
外から見ると、
前面に張り出した部分が3階、
足場に覆われた部分が6階にあたります。
この先、7階から屋上階まで施工が進み、
10月末には躯体工事の完了を予定しています。
少しずつ、建物の全体像が立ち上がっていくこの時期は、
現場にとっても大切な節目となります。
地下2階|病院の“心臓部”となる機械室
地下2階では、機械室の基礎工事が進んでいます。
ここには空調設備や各種機器が設置され、
建物全体の環境を支える役割を担います。
患者さんが安心して過ごせること。
医療機器が安定して稼働し続けること。
その日常は、この見えない空間に支えられています。
静かに、確実に。
病院の機能を守るための大切な場所です。
3日間、医療を止めないための電源計画
今回の計画において重要なポイントのひとつが、
自家発電設備の整備です。
設置されたのは、
625kVA × 2台(合計1250kVA)の発電機。
さらに外部にはオイルタンクを設け、
燃料を備蓄しています。
これにより、外部からの電源が途絶えた場合でも、
約3日間は医療機能を維持することが可能となります。
加えて、燃料を補給し続けることで、
より長い期間の運用にも対応できます。
非常時において、電源は命を守る基盤です。
その備えが、病院としての信頼を支えています。
地下1階|仕上げを支える下地と設備の準備
地下1階では、
LGS(軽量鉄骨)による下地工事とともに、
設備配管の敷設が進められています。
この工程は、完成後の使い勝手に大きく関わります。
・無理のない配管ルートの整理
・点検や修繕のしやすさ
・将来の更新を見据えた余裕の確保
完成すれば見えなくなる部分ですが、
日々の運用を支える、欠かすことのできない準備です。
災害時であっても機能し続けること。
設備が安定して稼働すること。
将来の変化にも無理なく対応できること。
これらを支えているのが、
地下に広がる設備計画と構造の積み重ねです。
目立つ部分ではありませんが、
こうした見えないところにこそ、設計の本質が表れます。
建物のかたちが見えてくると、
どうしても外観やデザインに目が向きがちになります。
けれども医療施設において本当に大切なのは、
見えない部分にどれだけ備えがあるか、という点です。
今回の工事でも、
災害時にも医療を止めないための仕組みを、
一つひとつ丁寧に積み重ねています。
私たちはこれからも、
目に見える美しさだけでなく、
安心して使い続けられる背景を大切にしながら、
建築に向き合っていきます。