2023年01月05日
「自由・誇り・安心」を支える住まい
ーサービス付き高齢者向け住宅の計画
年齢を重ねても、
できるだけ自分らしく、安心して暮らしたい。
高齢者住宅を考えるとき、
多くの方がそんな想いを抱かれているのではないでしょうか。
今回ご紹介する「シャトー新橋」は、
“施設”ではなく、“住まい”として心地よく暮らせることを大切にした計画です。

「住まいとしてのサ高住」を目指して
2023年2月、浜松市南区新橋町に
サービス付き高齢者向け住宅「シャトー新橋」が完成しました。
見守りの安心がありながら、
自分の生活を大切にできること。
この住宅では、
そんな“ちょうどよい距離感”を意識して設計を進めました。
負担をかけすぎない、というやさしさ
どれだけ良い環境であっても、
費用の負担が大きければ、選ぶことは難しくなります。
この計画では、
一般的なマンションと同程度の初期費用を意識しました。
無理なく入居できること。
そして、長く安心して住み続けられること。
その両方を大切にしています。
日々の暮らしを支える立地
建物のまわりには、
スーパーや薬局、診療所が整備されています。
日常の買い物や通院が、
特別なことではなく“いつものこと”として行える環境です。
また、東側には神社があり、
静けさとやわらかな時間が流れています。
高齢者住宅にとって、
この「外の環境」も大切な設計の一部だと考えています。



外観に込めた想い
オーナーからいただいたのは、
「人生の最後を過ごす場所として、ふさわしい佇まいにしたい」という言葉でした。
そこで、外壁にはALCパネルを用いながら、
リブの表情に変化をつけ、やわらかな陰影をつくっています。
派手さではなく、
落ち着きと品のある表情を大切にしました。
「施設らしくない」ことの意味
室内は、タイルや織物クロス、木製建具など、
手に触れたときにやさしさを感じられる素材を選びました。
色合いはグレージュを基調とし、
どこかほっとできる空間に整えています。
ステンドグラスの光や、
ささやかな装飾の存在が、日々の暮らしに彩りを添えます。
「ここで暮らしたい」と思えること。
それが、この空間のいちばんの役割です。



見えないところにこそ、設計の意味がある
建物は、完成した瞬間よりも、
使い続ける時間のほうがはるかに長くなります。
そのため、見た目だけでなく、
・見守りと生活動線の関係
・共用部と居室の距離感
・将来の使い方の変化への備え
・維持管理のしやすさ
といった点にも、丁寧に向き合いました。
目には見えにくい部分ですが、
日々の安心を支える大切な要素です。



時代の中でつくるということ
このプロジェクトは、コロナ禍という
不安定な時期をまたいで進められました。
その中でも、
「ここで暮らす人の安心」を軸に据え、計画を重ねてきました。
完成した建物が、
穏やかな日常を支える場所になることを願っています。
高齢者住宅の設計は、
単に建物をつくることではありません。
そこに暮らす時間や、
積み重ねていく日々までを想像することだと考えています。
安心できること。
無理がないこと。
そして、心地よく過ごせること。
その一つひとつを、丁寧にかたちにしていくことが、
設計の役割です。