2025年12月08日
浜松・高架下に“森”をつくる社会実験
ーPOP UP FORESTに見る未利用空間活用のヒント
使われていない空間は、設計次第で価値を生み出せます。
浜松市中心部の鉄道高架下で行われた「POP UP FOREST」は、
その可能性を体感できる実証実験でした。
当社事務所の近くで実施された本プロジェクトを見学し、
未利用空間の活用手法と都市の変化を確認してきました。
■高架下を“森”に変える実証実験
2025年11月、約1か月にわたり、
遠鉄新浜松駅近くの高架下空間で社会実験が行われました。
浜松市が主催し、
無機質な高架下を仮設のパブリックスペースへ転換。
テーマは「森のような滞在空間の創出」です。
普段は通過するだけの場所に、人が留まる仕掛けが施されていました。
■五感に働きかける空間デザイン
現地に足を踏み入れると、まず印象に残るのは空気感の違いです。
足元にはウッドチップが敷かれ、
ほのかな木の香りが広がります。
視線を上げると、
亜鉛メッキの足場と植栽が組み合わされた構成。
工業的な構造と自然素材が対比され、
高架下とは思えない空間が成立していました。
視覚・嗅覚・触感に働きかける設計により、
滞在したくなる環境がつくられていました。
■回遊性と居場所の設計
細長い敷地条件を活かし、
内部にはゆるやかな回遊動線が設定されていました。
ビケ足場と植栽によって視線がコントロールされ、
空間に奥行きと変化が生まれています。
単なる広場ではなく、
「選べる居場所」が点在する構成です。
この設計により、
利用者それぞれが自然に居場所を見つけていました。



■人の行動を変える公共空間
最終日は多くの来場者で賑わい、
ベンチやテーブルで思い思いに過ごす姿が見られました。
滞在の仕方に無理がなく、
それぞれが心地よい距離感で空間を使っています。
日射が少なく肌寒い環境でも、
空間の魅力が滞在を生み出していました。
高架下という条件でも、
設計によって人の行動は変わることが分かります。
■浜松におけるウォーカブルな変化
浜松市は車中心の都市という印象が強い地域です。
しかし今回の取り組みから、
歩いて楽しむ空間づくりへの転換が進んでいることが読み取れます。
未利用空間の活用は、
まち全体の回遊性や魅力向上に直結します。



■仮設実験だからこそ得られる価値
短期間の仮設であるからこそ、
自由度の高い空間提案が可能になります。
同時に、
・利用状況の把握
・運用面の課題抽出
・安全性の検証
といった実務的な確認も行えます。
実証を重ねることで、
恒常的な整備へとつなげる判断材料が蓄積されます。


「POP UP FOREST」は、
未利用空間を価値ある場所へ転換する具体例でした。
高架下のような制約のある場所でも、
設計と仕掛け次第で人が滞在する空間は実現できます。
今後の公共施設計画や外構設計において、
仮設による検証プロセスは重要な手法となります。
当社では、
こうした実証的アプローチを取り入れた空間提案を行っています。
未利用地の活用や公共空間の再設計をご検討の際は、
ぜひお気軽にご相談ください。