2022年12月14日
聖隷浜松病院S棟 CFT工法採用
ー振動対策と空間自由度を両立した構造設計
医療施設の設計では、「構造」が診療の質に直結します。
特に手術や精密検査では、わずかな振動も許されません。
今回の聖隷浜松病院S棟では、
機能と構造の両立が大きなテーマとなりました。
その解決策として採用したのが「CFT工法」です。
設計の考え方と施工のポイントをご紹介します。
構造計画の課題
本建物は鉄骨造を基本としています。
しかし、中央の重要なフレームには、
より高い性能が求められました。
下階は駐車場のため、柱間を広く取る必要があります。
一方、上階にはアイセンターを配置。
ここでは、顕微鏡を使った診察や手術が行われます。
振動を抑えることが必須条件でした。
採用したCFT工法とは
これらの条件を満たすため、
CFT(コンクリート充填鋼管)工法を採用しました。
鋼管の中にコンクリートを充填する構造です。
鋼とコンクリートが互いに補強し合います。
その結果、強度と粘り強さが向上。
柱を細くしながら、高い性能を確保できます。
コンクリート配合の様子
スランプフローの確認ハイブリッド構造の考え方
本計画では、鉄骨造とCFT造を組み合わせました。
駐車場では柱を細くして車庫幅を確保。
上階では振動を抑え、医療環境に対応しています。
用途に応じて構造を使い分けることで、
機能とコストのバランスを取りました。
CFT工法のメリット
CFT工法には、いくつかの利点があります。
・柱寸法を小さくできる
・階高を高く確保できる
・施工の手間を減らせる
鉄筋工事や型枠工事が減るため、
工期短縮と省力化にもつながります。
条件によっては、耐火被覆を減らすことも可能です。
柱下部にコンクリート充填口
爆裂防止用の空気抜き
生コン圧入中
柱上部で充填状況を確認
充填後、圧入口を塞いで完了
施工のポイント
鋼管の柱には、コンクリートを充填するための開口を設けます。
ポンプ車でコンクリートを圧入し、
上部から充填状況を確認します。
コンクリートは通常と異なり、
高い流動性と強度が求められます。
そのため、事前に試し練りを行い、
配合と性能を確認しました。
安全性への配慮
柱に設けた穴は、空気抜きのためだけではありません。
火災時に内部の水分が蒸気となり、
圧力で破壊されるのを防ぐ役割があります。
見えない部分にも、安全性の工夫を施しています。
本プロジェクトでは、用途に応じた構造選定を行いました。
振動対策、空間確保、施工性。
それぞれの条件を整理し、最適な解を導いています。
建物の性能は、構造計画で大きく変わります。
見えない部分こそ、設計の価値が表れます。
医療施設や高機能建築をご検討の際は、
ぜひお気軽にご相談ください。