2023年10月17日
聖隷浜松病院S棟 竣工 ①
ー渋滞・感染対策・高度医療を支える「動線設計」のすべて
病院の設計で本当に求められているのは、
「建てること」ではなく、「安全に運用し続けられること」です。
とくに近年は、感染対策や患者動線の精度が、
医療の質そのものに直結する時代になりました。
今回ご紹介するのは、
聖隷浜松病院 S棟の建替えプロジェクトです。
渋滞対策、感染対策、高度医療。
それぞれを単独で考えるのではなく、
「一体の設計」として成立させた計画です。


本計画は、既存病院の機能を止めることなく、
医療の質を高めるための建替えです。
単なる更新ではなく、
将来の感染症対応や周辺環境への影響まで見据えています。
「いま」と「これから」を同時に支える設計が求められました。
渋滞を解消する“駐車場設計”
屋内駐車場として94台分を確保しました。
これにより、病院前の慢性的な渋滞を緩和。
救急動線の安全性も高めています。
さらに地下駐車場には医療用電源を整備。
感染症拡大時には、熱発外来として転用可能です。
平常時と非常時、どちらにも機能する計画としました。
アイセンター|外来・手術・入院をつなぐ一体動線
眼科外来、手術部、入院機能をひとつにまとめた
「アイセンター」を整備しました。
患者は、外来から手術、術後管理まで、
迷うことなく移動できます。
照明については、医師と検証を重ね、
目への負担を抑えた環境を実現しました。
医療の質は、こうした細部の積み重ねで支えられています。


感染症対応病棟|分離と連携のバランス
感染症拡大時には、隔離病棟として運用できる計画です。
一般患者と交差しない動線を確保し、
基準に準拠した建築・設備を整えています。
重要なのは、「分けること」だけではありません。
必要な場面では連携できる柔軟性も持たせています。
現場の運用を想定した設計です。
渡り廊下が生む“見えない効率”
分棟されていた建物同士を渡り廊下で接続しました。
屋内移動が可能になり、
天候に左右されない動線を確保。
医療スタッフの移動負担を減らし、
結果として医療の質向上にもつながります。

周辺と調和する外観デザイン
本棟と医局管理棟の中間に位置する建物として、
双方のデザイン要素を取り入れました。
縦長窓とリブ付きコンクリートを組み合わせ、
単体でも成立する表情を持たせています。
周囲との連続性を大切にしながら、
病院全体の一体感を整えました。
敷地条件に応えるレベル計画
敷地には最大2m以上の高低差があります。
複数の出入口や既存建物との接続を整理し、
無理のないレベル設定を行いました。
構造・設備と密に連携し、
長期的に安定する断面計画としています。
感染対策の“見える設計”
空調のエアフローを図面上で明確化し、
空気の流れまで設計に反映しました。
さらに、
・手洗い位置
・仕上げ材の選定
これらも医療スタッフと検証を重ねています。
「使われる設計」であること。
それが感染対策の本質です。
設計意図が“現場で機能する”ということ
建築に造詣の深い医師からも、
高い評価をいただきました。
設計した内容が、現場でそのまま機能する。
それは決して当たり前ではありません。
だからこそ、このプロジェクトには
大きな価値があります。
病院建築では、
機能・動線・感染対策を同時に成立させる必要があります。
そのためには、
初期段階からの一貫した設計が欠かせません。
・既存病院の機能強化を検討している
・感染対策を含めた改修や建替えを考えている
・動線や運用に課題を感じている
こうしたお悩みに対して、
私たちは実績に基づいた提案を行っています。
ひとつひとつの現場に寄り添いながら、
「安心して使い続けられる建築」をご一緒につくります。
どうぞ、お気軽にご相談ください。