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株式会社公共設計創業50年の実績 医療・福祉・教育・文化・商業施設の建築設計(浜松)

NEWS

2011年12月12日

3st 「ありがとう」が残る建築

ー救急棟解体で見えた、本当に大切な価値

建物には、いつか役目を終えるときが訪れます。

どれだけ大切に使われてきたとしても、
医療の進化や機能の更新の中で、建替えは避けて通れないものです。

それでも——
その建物が、どのように使われてきたのか。

そこにこそ、設計の本当の価値が静かに表れるのだと思います。

今回、解体される救急棟の中で見つかった、
ひとつの言葉をご紹介します。

自分たちが設計した建物を、解体するということ

現在進行中の第4期増築工事では、
既存の救急棟を解体する工程が進んでいます。

この救急棟は、約10年前、
私たちが設計・監理を担当した建物です。

設計者として関わった建物を、
同じプロジェクトの中で解体するということ。

決して珍しいことではありませんが、
その場に立つと、やはりさまざまな思いがよぎります。



壁に残されていた、ひとつの言葉

工事関係者の方から、
「壁にメッセージが残されていました」と伺い、
写真を共有していただきました。

そこに記されていたのは、

「ありがとう HCU」

という、短い言葉でした。

日々この場所で働いてこられた医療スタッフの方が、
ふとした瞬間に残された言葉です。

その一言に、この場所で過ごされた時間や想いが、
静かに込められているように感じました。



建物は“使われ方”で価値が決まる

この言葉を目にしたとき、
あらためて感じたことがあります。

建物の価値は、
設計の美しさや新しさだけでは決まらない、ということです。

安心して働けたか。
迷わずに使えたか。
日々の支えとなっていたか。

そうした一つひとつの積み重ねが、
最後に「ありがとう」という言葉として残るのだと思います。


10年で解体される建築の意味

今回の救急棟は、約10年でその役目を終えることになりました。

短く感じられるかもしれません。
けれども医療施設においては、
機能や設備の更新が求められるスピードはとても速く、
時代に合わせた見直しは欠かせません。

大切なのは、
「どれだけ長く残るか」ではなく、

「使われている時間の中で、どれだけ価値を発揮できたか」

その視点にあるのだと、私たちは考えています。


次の建築に引き継ぐべきもの

今回の出来事は、
私たちにとって大切な気づきを与えてくれました。

新しく建てる建物に求められるのは、
性能や機能だけではありません。

そこに関わる人にとって、
自然と受け入れられ、
安心して日々を重ねていけること。

そして、いつかその役目を終えるとき、
同じように「ありがとう」と思っていただけること。

それが、これからも大切にしていきたい、設計のあり方です。


建物はかたちとして残りますが、
本当に残るのは、そこで過ごされた時間や記憶です。

今回の救急棟に残されていた言葉は、
設計者としての責任と向き合うきっかけを、
あらためて私たちに与えてくれました。

これからも、目に見えるデザインだけでなく、
使う人の気持ちにそっと寄り添う建築を、
丁寧につくっていきたいと考えています。

医療施設の建替えや改修をご検討の際は、
どうぞお気軽にご相談ください。

お話を伺いながら、一つひとつの条件に向き合い、
無理のないかたちをご一緒に考えてまいります。

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