2011年09月27日
1st 医療を止めない建替えという選択
ー聖隷浜松病院 再整備プロジェクトのはじまり
病院は、止めることのできない建物です。
救急の受け入れも、入院されている方の毎日の暮らしも、
そして日々の診療も、ひとときも途切れることなく続いています。
その営みを守りながら、建物を新しくしていく——
一見、相反するようにも思えるこの条件に、丁寧に向き合うこと。
それが、医療施設設計の本質だと、私たちは考えています。
今回ご紹介するのは、聖隷浜松病院の再整備プロジェクトです。
そのはじまりとなる「解体工事」から、設計の考え方をお伝えします。
平成22年10月に着工した聖隷浜松病院の既存棟(救急棟)解体後の写真です。
解体から始まる、未来の医療づくり
2010年10月に着工した本プロジェクトは、
既存の救急棟の解体からスタートしました。
けれども、この解体は、単なる取り壊しではありません。
院内では同時に準備工事が進められ、
診療への影響をできる限り抑えるよう、
細やかに工程が組み立てられています。
2010年10月から2011年5月までは、院内改修を中心とした準備期間。
その後、6月から8月にかけて解体工事が行われました。
すべては、医療を止めないために。
見えないところでの積み重ねが、この計画を支えています。
病院機能を守りながら進める設計
この計画の大きな特徴は、
病院を稼働させたまま建替えを行う点にあります。
患者さんの安心を守る動線、
工事による影響を抑えるための配慮、
医療従事者の方々の負担を軽減する工夫。
・患者動線と工事動線の分離
・騒音や振動へのきめ細やかな配慮
・安全性の確保
・日々の業務に支障をきたさない環境づくり
こうした一つひとつを丁寧に整理しながら、
段階的に建物を更新していきます。
新しい建物をつくること以上に、
「今ある医療を守ること」に、設計の重心があります。
地域医療を支える建築へ
解体後の敷地には、
地下2階・地上10階の新棟(第1期)が建設されます。
この建物には免震構造を採用し、
屋上にはヘリポートを整備します。
災害時や救急医療に対応するための、重要な機能です。
建物の安全性だけでなく、
地域の医療を支える拠点として、
長く安心して使われることを見据えた計画となっています。
「合築」という、見えない設計の難しさ
本プロジェクトは、1期・2期に分けて進められます。
その中で特徴的なのが、
工事の途中で建物をつなぐ「合築」という考え方です。
構造の整合性や設備の接続、動線の再構築。
将来の姿を見据えながら、すべてをあらかじめ描いておく必要があります。
目に見える完成形だけでなく、
その過程までも設計すること。
そこに、医療施設設計の難しさと、
同時に大きなやりがいがあります。
新棟の完成は2014年12月を予定しており、
約4年にわたる計画です。
その間も、病院は変わらず動き続けます。
だからこそ設計には、
「今」と「これから」の両方を見つめる視点が欠かせません。
いま必要とされている医療を守ること。
これから求められる医療に応えていくこと。
そのどちらにも、誠実に向き合うことが、
このプロジェクトの価値をかたちづくります。
そこには、患者さんの安心と、
医療に携わる方々の毎日、
そして地域の命を支える責任があります。
私たちは、建物をつくるだけでなく、
「医療が続いていくこと」を支える設計に、
これからも真摯に向き合っていきます。
現場の様子も少しずつお伝えしながら、
その歩みを、丁寧に共有してまいります。
もし、
「病院を止めることなく、改修や建替えを進めたい」
そのようなお悩みがございましたら、
どうぞ安心してご相談ください。