施設概要と計画の背景
おおすか苑は、
旧大須賀町の「地域で暮らし続けたい」という想いから始まりました。
要介護状態になっても、住み慣れた町で暮らせるように。
本施設は、その理念を受け継ぎながら、
地域にひらかれた新たな拠点として整備されました。
建物は木造平屋、延床面積約1,127㎡。
以下の機能で構成されています。
・小規模多機能型施設「よりみち」
・認知症対応型生活介護施設「野楽里(のらり)」
・地域交流ホール
交流ホールが“地域の居場所”になる理由
この場所に求められたのは、
特別な人のためだけの施設ではありませんでした。
地域の中での暮らしの一部として、
誰もが自然に立ち寄り、思い思いの時間を過ごせる場所。
おおすか苑様が大切にされたのは、
“みんなの家”のような、あたたかな居場所です。
その想いは、地域交流ホールとして、かたちになっています。
交流ホールには、天竜の杉を用いた木造トラスを採用しました。
特別なことをするための構造ではなく、
この地域にある素材と、丁寧な仕事によってつくられたものです。
目に見える部分だけでなく、
建物の内側にも、安心して使い続けられる理由があります。
“家庭の延長”をつくる空間設計
施設づくりで最も重要なのは、
「施設らしさ」を消すことです。
おおすか苑では、
日常の延長として過ごせる空間を目指しました。
大規模な一体空間ではなく、
人のスケールに寄り添う配置とボリューム。
初めて訪れても落ち着ける、
どこか懐かしい空気感を大切にしています。
地域とつながる配置計画
敷地のまわりにあった木々も、
すべてを新しく整えるのではなく、
残したいものは大切に残し、
必要なところだけ手を入れ、そっと整えていきました。
そうして整えた環境は、
隣に広がる「中新井池」公園へと、やさしくつながっていきます。
建物だけが目立つのではなく、
まわりの風景と一緒に、ひとつの空気をつくっていく。
そんな関係を大切にしています。

目指したのは、
「はじめてなのに、どこか懐かしい」と感じられる建築。
人の気配と、季節の移ろいが、
静かに積み重なっていく場所です。
これからも、この建物が、
地域の中でやさしく息づいていくことを願っています。